在宅看取りと、その市場。

訪問看護の市場。在宅看取りと、その市場。住み慣れた家で、最期まで。希望と現実、地域ごとの違いを知る。公的統計と、所沢で歩んだ13年から。

「人生の最期は、住み慣れた家で」。そう望む人は多いのに、実際にご自宅で最期を迎える方はまだ少数です。しかもその割合は、地域によって2倍以上の差があります。あなたの地域はどうでしょうか。公的統計をもとに、47都道府県の現状、所沢で私たちが見てきた13年の変化、そして担い手の現状を整理しました。

望む人は4割超。実際に自宅で迎えられた方は、6人に1人。

希望と現実。望む人は4割超。実際は、6人に1人。自宅で最期を過ごしたい 43.8%(一般国民への意識調査・治る見込みがなく1年以内に死に至ると考えた場合)。実際に自宅で最期を迎えた 16.4%(2024年の死亡場所の統計)。※意識調査と死亡統計は、対象・調査方法が異なります。

国の意識調査では、「治る見込みがなく1年以内に死に至ると考えたとき、最期を過ごしたい場所」に自宅を選んだ一般国民は43.8%でした。医師・看護師・ケアマネジャーでは56〜58%が自宅を選んでいます。一方、2024年に実際にご自宅で最期を迎えた方は16.4%です。

※ 希望は厚生労働省「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」(一般国民 3,000人回収)、実際は「人口動態統計」2024年。母集団と設問が異なるため、差は参考値です。

自宅は増え、老人ホームはもっと増えた。それでも8割超は施設で。

全国の推移。自宅は増え、老人ホームはもっと増えた。それでも8割超は施設で。自宅 12.6%(2010年)→16.4%(2024年)。老人ホーム 3.5%→12.2%(3倍以上に)。自宅+老人ホーム 16.1%→28.6%。施設内での死亡 81.9%(2024年・病院・診療所・介護施設など)。※老人ホームは「自宅+老人ホーム」と「施設内」の両方に含まれます。

ご自宅で最期を迎えた方の割合は、2010年の12.6%から2024年の16.4%へ。老人ホームは3.5%から12.2%へと3倍以上になりました。「自宅+老人ホーム」を在宅等とみると16.1%から28.6%へ広がっていますが、病院・診療所・介護施設を含めた施設内で最期を迎える方は、今も81.9%です。

最期を迎えた場所の構成割合(全国・人口動態統計 第5.6表)
年年間の件数病院老人ホーム介護医療院・老健自宅自宅+老人ホーム
2010年1,197,01477.9%3.5%1.3%12.6%16.1%
2015年1,290,51074.6%6.3%2.3%12.7%19.0%
2020年1,372,75568.3%9.2%3.3%15.7%24.9%
2023年1,576,01664.4%11.5%4.0%17.0%28.5%
2024年1,605,37864.4%12.2%4.1%16.4%28.6%

出典:厚生労働省「人口動態統計(確定数)」上巻 死亡 第5.6表。2020〜2021年はコロナ禍で自宅の割合が急に高まりました。

47都道府県の数字。最も高い東京都 22.8%、最も低い秋田県 9.8%。

あなたの地域はどうか。47都道府県の数字。ご自宅で最期を迎えた方の割合。最も高い東京都 22.8%、最も低い秋田県 9.8%。地域で、約2.3倍の差。あなたの地域の現状を、見てみませんか。

同じ国の中で、ご自宅で最期を迎えた方の割合には2.3倍の開きがあります。首都圏・関西圏で高く、東北・九州で低い傾向です。地域の差がこれだけ大きいこと自体が、「体制次第で変わる余地」を示しています。ご自身の地域を探してみてください。

都道府県別 最期を迎えた場所の割合(2024年)と、2013年からの変化
順位都道府県自宅(2024)老人ホーム(2024)自宅+老人ホーム自宅(2013)変化(pt)
—全国16.4%12.2%28.6%12.9%+3.5
1東京都22.8%14.4%37.2%16.7%+6.1
2神奈川県21.0%17.9%38.9%15.5%+5.5
3大阪府20.4%10.8%31.2%15.2%+5.2
4兵庫県19.3%10.4%29.7%16.4%+2.9
5千葉県18.8%11.2%30.0%15.8%+3.0
6沖縄県18.4%13.3%31.7%13.3%+5.1
7埼玉県18.2%13.8%32.0%12.0%+6.2
8岐阜県17.3%14.7%32.0%12.9%+4.4
9愛知県17.3%14.6%31.9%12.4%+4.9
10和歌山県17.0%11.3%28.3%13.2%+3.8
11京都府16.9%9.9%26.8%14.8%+2.1
12栃木県16.8%12.3%29.1%13.1%+3.7
13奈良県16.7%10.2%26.9%16.0%+0.7
14三重県16.5%14.2%30.7%13.2%+3.3
15静岡県16.3%16.0%32.3%13.9%+2.4
16香川県16.2%14.2%30.4%13.1%+3.1
17愛媛県16.0%9.3%25.3%12.6%+3.4
18宮城県15.9%12.5%28.4%14.7%+1.2
19滋賀県15.8%9.9%25.7%14.5%+1.3
20広島県14.6%10.2%24.8%12.2%+2.4
21長野県14.4%15.2%29.6%12.7%+1.7
22山梨県14.3%12.1%26.4%13.1%+1.2
23茨城県14.0%9.1%23.1%11.2%+2.8
24群馬県13.7%16.1%29.8%10.7%+3.0
25福岡県13.7%8.8%22.5%9.1%+4.6
26岡山県13.5%9.4%22.9%11.3%+2.2
27長崎県13.5%7.9%21.4%9.2%+4.3
28福島県13.0%9.6%22.6%13.8%-0.8
29高知県13.0%5.2%18.2%10.9%+2.1
30石川県12.9%13.5%26.4%9.4%+3.5
31福井県12.8%10.7%23.5%11.4%+1.4
32鳥取県12.8%12.7%25.5%12.5%+0.3
33北海道12.5%5.7%18.2%8.7%+3.8
34富山県12.4%9.3%21.7%9.2%+3.2
35青森県12.2%14.0%26.2%11.2%+1.0
36山形県12.2%16.8%29.0%11.2%+1.0
37鹿児島県11.9%10.7%22.6%9.0%+2.9
38山口県11.8%9.8%21.6%10.7%+1.1
39徳島県11.6%7.3%18.9%10.0%+1.6
40岩手県11.4%12.2%23.6%12.4%-1.0
41島根県11.3%14.1%25.4%10.8%+0.5
42宮崎県11.2%15.1%26.3%8.9%+2.3
43佐賀県11.1%9.9%21.0%8.7%+2.4
44熊本県10.9%10.6%21.5%9.7%+1.2
45大分県10.8%15.0%25.8%8.4%+2.4
46新潟県10.1%14.3%24.4%11.7%-1.6
47秋田県9.8%10.0%19.8%9.3%+0.5

出典:厚生労働省「人口動態統計(確定数)」上巻 第5.8表(2024年・2013年)。順位は自宅の割合で並べています。埼玉県は2013年の25位から7位へ上がりました。

読み方の注意。自宅の割合が低い=在宅医療が足りない、とは単純には言えません。老人ホームでの看取りも在宅医療の成果ですし、自宅には不慮の事故なども含まれます。市区町村の数字は厚生労働省「在宅医療にかかる地域別データ集」で確認でき、エリア適正診断ではその数字もあわせてお調べします。

所沢の13年。7人に1人から、4〜5人に1人へ。

私たちが見てきた変化。所沢の13年。7人に1人から、4〜5人に1人へ。所沢市 自宅で最期を迎えた方の割合: 2013年 14.2%(およそ7人に1人)→ 2021年 24.7% → 2024年 22.3%(4〜5人に1人)。2013年から2024年で+8.1ポイント。市内の訪問看護ステーション 2014年 16か所 → 2024年 43か所。地域の在宅療養を、私たちもその一員として。

トータルケアが埼玉県所沢市で訪問看護を始めた2013年、市内でご自宅で最期を迎えた方は14.2%、およそ7人に1人でした。2021年には24.7%まで上がり、2024年は22.3%、4〜5人に1人です。全国の16.4%、埼玉県の18.2%を上回り、伸び幅も全国(+3.5pt)・県(+6.2pt)より大きい+8.1ptです。市内の訪問看護ステーションも16か所(2014年)から43か所(2024年)へ増え、私たちもその一員として、地域の在宅療養を支えてきました。

所沢市と近隣市 ご自宅で最期を迎えた方の割合(2013年→2024年)
地域2013年2024年変化(pt)老人ホーム(2024)
所沢市14.2%22.3%+8.110.6%
入間市11.5%21.0%+9.59.4%
川越市11.5%19.5%+8.011.8%
狭山市9.8%19.2%+9.412.6%
ふじみ野市13.0%17.7%+4.710.1%
埼玉県12.0%18.2%+6.213.8%
全国12.9%16.4%+3.512.2%

出典:埼玉県「埼玉県保健統計年報」人口動態統計 第1-14表(死亡の場所・市区町村別)より算出。所沢市の年次推移(2021年 24.7%)とステーション数は厚生労働省「在宅医療にかかる地域別データ集」令和6年度版。自宅のみの割合で、老人ホーム等は含みません。地域全体の変化であり、単一の事業者の成果として切り分けられる統計ではありません。

体制は整っても、看取りの経験を積める場が足りない。

担い手の現状。体制は整っても、看取りの経験を積める場が足りない。届出のある事業所 77%。月1件以上の算定実績 約9%(ターミナルケア加算)。実績のある事業所の割合は、約10年横ばい。看取りまで伴走できる看護師が育つ場を。※約9%は、1か月に1件以上のターミナルケア加算を算定した事業所の割合。

ステーションの数は2012年からの14年で3倍を超えました。それでも、1か月に1件でも在宅での看取り(ターミナルケア加算)を算定した事業所は約9%で、10年ほど横ばいです。届出は77%にあるのに、実績が伴わない。小規模で24時間に手が回らず、看取りまで伴走できる看護師が育つ場が、まだ足りていません。

  • 約9%

    看取りを算定した事業所(1か月)

    介護保険のターミナルケア加算を算定した事業所は1,487か所(2025年4月)。全体の約9%で、「10%前後で横ばい」と国の資料も記しています。届出は77%の事業所にあります。

    出典:社会保障審議会 介護給付費分科会 第259回 資料3/全国訪問看護事業協会 令和6年度老健事業 報告書

  • 55%

    看護職員5人未満の小規模事業所

    常勤換算で看護職員5人未満の事業所が55.2%。少人数では24時間対応と看取りの両立に手が回りにくく、機能強化型の届出は963か所、稼働数の約5.6%にとどまります。

    出典:令和6年 介護サービス施設・事業所調査/中央社会保険医療協議会 総-2(令和7年11月12日)

  • 6.7%

    訪問看護で働く看護師の割合

    就業看護師136万人のうち訪問看護ステーションで働くのは約9.1万人(6.7%)。国は2025年に約12万人が必要と推計しており、在宅を担う看護師はまだ足りていません。

    出典:令和6年 衛生行政報告例/看護職員需給分科会 中間とりまとめ(令和元年)

  • 960件

    2025年度に廃止されたステーション

    新規開設2,428に対し、廃止960・休止328(2025年度)。採用・定着・24時間体制が整わないまま始めると続きにくい事業です。だからこそ、看取りまで経験を積める育成の仕組みが要ります。

    出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査」(令和8年)。廃業が多い理由と続く仕組み/看護師の定着と育成

看取りの数は、2040年まで増え続ける。

2040年に向けて。最期まで支える体制が、これからもっと必要に。年間死亡数の実績と将来推計: 2024年 約151万人(実績)→ 2040年 約166.5万人(推計・ピーク)。望む場所での看取りを支える、訪問看護へ。※数値は年間死亡数。すべてが在宅看取りの件数ではありません。

年間の死亡数は2024年の約151万人から、2040年には約166.5万人でピークを迎えると推計されています。国は第8次医療計画で「患者が望む場所での看取りが可能な体制」を掲げ、24時間体制の訪問看護ステーション数や在宅看取り数を重点指標にしました。新たな地域医療構想でも「在宅医療や訪問看護について、大半の地域で需要は増加する見込み」と明記しています。

  • 166.5万人

    2040年の年間死亡数(推計)

    2015年と比べ年間約36万人の増加。病院の病床は増えないため、増える分の受け皿は在宅と施設になります。

    出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」

  • 重点指標

    国が数える「在宅看取り」

    第8次医療計画の指標例に、在宅看取りを実施する医療機関数、24時間体制の訪問看護ステーション数、訪問看護でターミナルケアを受けた利用者数。

    出典:厚生労働省 医政局地域医療計画課長通知(令和5年3月31日・最終改正 令和8年6月10日)

  • 一律目標なし

    目標は都道府県ごと。だから地域で見る

    国として「自宅で最期を迎える割合◯%」という全国一律の目標はありません。数値目標は各都道府県の医療計画に委ねられており、地域ごとの見極めが要ります。

    出典:同上。各都道府県の第8次医療計画

あなたの地域の数字を、一緒に見てみませんか。

お考えのエリアの在宅看取りの現状・需要・競合・採用環境を、公的データで先にお調べします。加盟の前提ではありません。

出典一覧

数値は各出典の公表版によります(2026年10月時点)。引用の際は出典と時点の併記をお願いします。