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訪問診療クリニックの先生方へ

訪問看護が、訪問診療の医師を支える理由

訪問看護ステーション トータルケアが、クリニックの先生方との合同勉強会でお伝えしている内容をまとめました。往診と訪問診療のちがい、1回あたりの報酬、在宅がん医療総合診療料の要件。数字と制度の原文から見えてくるのは、医師の時間を、医師にしかできない診療に使うための訪問看護という姿です。

点数・金額は2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定にもとづきます(1点=10円)。

先に結論

訪問看護が医師を支える、3つの理由

  • 理由1

    制度がそう組まれている

    在宅療養支援診療所の要件に「24時間の訪問看護」が入っています。在宅がん医療総合診療料も、訪問看護が週1回以上ないと算定できません。訪問看護は、在宅医療の仕組みの一部です。

  • 理由2

    医師の時間を、計画的な診療へ

    夜間の連絡はまず看護師が受け、予測指示の範囲で対応します。往診が減れば、その時間は計画的な訪問診療へ。日中の往診1回は約1.4万円、訪問診療1回は約2.7万円と、評価も訪問診療のほうが高くなっています。

  • 理由3

    患者さん・ご家族の安心

    いつもの看護師がすぐに応える。症状の変化を先に見越して、薬と指示を前もって整えておく。住み慣れた家で、安心して過ごし続けられます。

目的は、在宅医療を必要とする人に、限られた医師の時間を届けること。そのために訪問看護があります。

背景

在宅で診療を受ける人は2040年以降まで増え、担い手の数は横ばい

訪問診療を受ける患者さんの数は、全国で2040年以降にピークを迎える見込みです。237の二次医療圏で、ピークは2040年以降。一方で、在宅医療の中心になる在宅療養支援診療所の届出数は横ばいです。患者さんが増えても、医師の数は大きく増えない。医師の時間をどう使うかが、地域の課題になります。

在宅療養支援診療所の届出数(2024年8月1日時点)
区分か所
機能強化型(単独型)275
機能強化型(連携型)4,161
機能強化型以外の在支診10,858
合計15,294

出典:厚生労働省医政局地域医療計画課「在宅医療の提供体制の整備に関する検討等について」(第3回 在宅医療及び医療・介護連携に関するWG、2025年11月19日)p.5・p.7。

しくみ

訪問診療は「計画して行く」、往診は「呼ばれて行く」

訪問診療と往診のちがい
観点訪問診療(C001)往診(C000)
どんな診療か患者さんの同意を得て、計画的・定期的に訪問する患者さん・ご家族の求めに応じて、その都度訪問する
医師の予定予定に組み込まれている予定にない。外来や訪問の合間・夜間に入る
回数原則週3回まで(末期の悪性腫瘍等は上限なし)上限なし
報酬訪問診療料 890点/回+在宅時医学総合管理料(月1回)往診料 720点+時間帯の加算+再診料 76点
1回あたり(在支診の例)月2回なら約2.7万円(27,325円)、月1回なら約3.2万円(31,750円)日中 約1.4万円(14,460円)、夜間・休日 約2.1万円、深夜 約3.1万円

在支診(機能強化型以外)・単一建物診療患者1人・1点=10円。往診をしても、在宅時医学総合管理料の訪問回数には入りません。定期的・計画的に行った場合は往診料を算定できません。

制度

在宅療養支援診療所の要件に、24時間の訪問看護が入っている

在宅療養支援診療所の施設基準には、自院または他の医療機関・訪問看護ステーションの看護師等との連携で、24時間訪問看護を提供できる体制が含まれています。訪問看護ステーションは、この要件を一緒に満たす連携先です。

  1. 24時間の連絡窓口

    24時間連絡を受ける医師または看護職員を担当者に決め、連絡先を文書で患家に渡す。

  2. 24時間の往診

    患家の求めに応じて24時間往診できる体制。往診担当医の氏名・担当日を文書で渡す。

  3. 24時間の訪問看護

    自院、または他の医療機関・訪問看護ステーションの看護師等との連携で、24時間訪問看護を提供できる体制。担当者の氏名・担当日を文書で渡す。

  4. 緊急時の入院先

    有床診療所は自院、無床診療所は連携先で、緊急時に入院できる病床を確保する。

  5. 連携と記録

    連携先への診療情報の提供、診療記録の管理、ケアマネジャー等との連携。

  6. 実績

    緊急往診・在宅での看取りなどの実績と、その報告(機能強化型は件数の基準あり)。

根拠:保医発0305第8号「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第9 在宅療養支援診療所。要件は区分(機能強化型の単独型・連携型、それ以外)により異なります。

数字で見る

往診10回を訪問看護が受けると、医師はあと5人を診られる

医師1人が月に12回訪問できるとして、1人の患者さんに日中の緊急往診が10回あった月と、その10回の場面に訪問看護が先に伺えた月を比べます。

医師1人・月12回の訪問の使い方(在支診・機能強化型以外)
月の過ごし方中身合計1訪問あたり
往診10回があった月患者さん1人に訪問診療月2回(5,465点)+日中の往診10回(1,446点×10)199,250円約16,604円
訪問看護が先に伺えた月往診は0回に。患者さん1人に訪問診療月2回のみ54,650円27,325円
空いた10回で5人を診た月患者さん6人に訪問診療月2回ずつ(5,465点×6人)327,900円27,325円

同じ12回の訪問で、差は月128,650円。そして何より、医師の診る患者さんが1人から6人に増えます。

在支診(機能強化型以外)・単一建物診療患者1人・往診は日中の緊急往診(720点+緊急往診加算650点+再診料76点)・1点=10円。在宅時医学総合管理料の加算・指導管理料などは含めていません。実際の報酬は患者さんの状態や算定要件によって異なります。

病院では当たり前のしくみ

ナースコールは、まず看護師が受ける

病棟で患者さんがナースコールを押すと、来るのは看護師です。痛み、熱、吐き気、眠れない、便秘。たいていのことは、看護師が観察し、あらかじめ医師から出ている予測指示(約束指示)の範囲で対応します。当直医を呼ぶのは、医師の判断が必要なときだけ。在宅でも、訪問看護ステーションの24時間の電話が、病棟のナースコールにあたります。

病院と在宅の夜間の流れ
流れ病院(病棟)在宅(訪問診療+訪問看護)
連絡患者さんがナースコールを押す患者さん・ご家族がステーションの24時間電話へ
最初に受ける人看護師が観察し、予測指示の範囲で対応訪問看護師が聞き取り・訪問し、予測指示の範囲で対応
医師へ判断が必要なときだけ当直医へ報告判断が必要なときだけ訪問診療医へ報告・往診
医師の時間回診・治療方針・医師にしかできない判断へ計画的な訪問診療・医師にしかできない判断へ

病院で当たり前のしくみを、家でも。夜間の流れをくわしくは夜間当直を看護師が支援するでご紹介しています。

在宅がん医療総合診療料

在宅がん医療総合診療料は、訪問看護とセットの制度

在宅がん医療総合診療料(C003)は、通院が難しい末期の悪性腫瘍の患者さんに、届け出た在宅療養支援診療所・病院が計画的な医学管理のもとで総合的な医療を提供したとき、1週を単位として算定する報酬です。算定には、次の3つをすべて満たす週であることが求められます。

  • 週4日以上

    訪問診療と訪問看護を行う日が、合わせて週4日以上(同じ日に両方でも1日)。

  • 訪問診療が週1回以上

    医師の訪問は週1回から。残りの日は看護師が状態を見て報告します。

  • 訪問看護が週1回以上

    基本の組み方は「医師週1日+看護師週3日」。看護師の訪問が1日欠けると、その週は算定できません。

区分ごとの金額の目安(院外処方箋を交付する場合)
項目在支診(機能強化型以外)機能強化型・病床なし機能強化型・病床あり
1日の点数1,495点1,650点1,800点
1週間(7日分)104,650円115,500円126,000円
訪問看護への支払いの目安(週3日)−25,680円−25,680円−25,680円
医師の訪問1回あたり78,970円89,820円100,320円

訪問看護への支払いは医療機関とステーションの契約で決まります。目安の1日8,560円は、訪問看護基本療養費(Ⅰ) 5,550円+訪問看護管理療養費(月の2日目以降)3,010円。在宅がん医療総合診療料は検査・処置・院内で使う薬剤や材料も含むまとめた報酬のため、そのまま利益ではありません。加算(死亡診断加算・在宅医療充実体制加算など)は含めていません。

また、施設基準には、定期的な訪問看護と急変時の常時対応について「連携する医療機関または訪問看護ステーションと共同して、これに当たっても差し支えない」と書かれています。訪問看護の費用は、在宅がん医療総合診療料を算定する医療機関がまとめて算定し、ステーションは医療機関から支払いを受け、訪問のたびに医師へ報告します。

訪問看護師にできること

夜の窓口、診療の補助、そして説明の橋渡し

  • その1

    24時間体制のナースコール

    患者さん・ご家族に訪問看護ステーションの緊急連絡先を知らせておくことで、夜間の連絡がまず看護師に届きます。看護師が聞き取り・訪問し、予測指示の範囲で対応して医師へ報告します。

  • その2

    診療の補助

    採血、点滴、中心静脈カテーテルの管理、カテーテルの管理などを、医師の指示のもとで行います。訪問診療のときに担当のステーションへご連絡いただければ、当日対応します。

  • その3

    患者さん・ご家族への説明の補助

    患者さんの希望の実現に向けて医師の方針を言葉にし、医師と患者さん・ご家族の橋渡しをします。病状の説明を受けたあとの気持ちの支えや、介護保険・医療保険を組み合わせたサービスの説明も。医師と患者さんの信頼関係づくりにつながります。

在宅がん医療総合診療料を組むとき

退院前から、看護師が動いています

  1. 退院前

    退院前カンファレンスに参加し、この先に起こりうる症状と予測指示を医師と確認します(痛み・吐き気・息苦しさ・熱・飲み薬が難しくなったときなど)。必要な薬と物品を退院日までにそろえます。

  2. 開始の週

    日曜〜土曜の週で、医師週1日+看護師週3日以上の予定を組みます。緊急連絡先・往診担当医・訪問看護担当者を文書でお渡しし、支払いの契約を確認します。

  3. 毎週

    訪問のたびに医師へ報告し、週4日の要件が欠けていないかを確認します。ケアマネジャーへ変化と必要なサービスを伝えます。

  4. 人生の最終段階

    訪問の日数を増やし、ご家族に見通しをお伝えします。いざというときの連絡の順番と、医師の死亡診断までの流れを、ご家族と前もって確認しておきます。

退院の初日に、予測指示と薬と連絡先がそろっていれば、夜間も看護師が対応できます。

トータルケアFCなら

医師を支える訪問看護を、自院のそばに

連携先を探すだけでなく、クリニックが自ら訪問看護ステーションを持つという選択もあります。看護師の採用は求人から一次・二次面談までトータルケアFC本部が担当し、24時間365日の運営の型と、主治医への報告の型をお渡しします。

先生の時間を、医師にしかできない診療へ。

貴院の訪問診療の体制と夜間の状況をお聞かせください。訪問看護との組み方と、ステーションを自院で持つ場合の体制と収支を、具体的にご説明します。勉強会のご依頼も承ります。

根拠・出典

  • 令和8年厚生労働省告示第69号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」別表第一 医科診療報酬点数表:A001再診料、C000往診料、C001在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、C002在宅時医学総合管理料、C003在宅がん医療総合診療料
  • 令和8年3月5日 保医発0305第6号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科:C000〜C003
  • 令和8年3月5日 保医発0305第8号「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」:第9 在宅療養支援診療所、第16 在宅がん医療総合診療料
  • 令和8年厚生労働省告示第71号「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」/令和8年厚生労働省告示第74号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件」
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 8.質の高い在宅医療の推進」
  • 厚生労働省医政局地域医療計画課「在宅医療の提供体制の整備に関する検討等について」第3回 在宅医療及び医療・介護連携に関するWG(2025年11月19日)p.5・p.7
  • いずれも厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(別タブで開きます)」等で公開されています。

訪問看護ステーション トータルケア「訪問診療の仕組みと在宅がん医療総合診療料(クリニック向け合同勉強会資料)」2026年11月版をもとに作成。算定にあたっては、疑義解釈を含む最新の資料をご確認ください。