看護師で、経営者になるということ。

看護師の方へ。看護師で、経営者になるということ。ひとりで独立し、右腕とともに育つ。現場で見てきたことを、正直に。事業計画を手に考える看護師。

訪問看護ステーションは、毎年たくさん生まれ、たくさん閉じています。看護師も増えていますが、リハビリ職の伸びがそれを上回り、訪問看護で働く看護師はまだ就業看護師の6.7%です。そのなかで看護師が経営者になるとき、何が起きやすく、どう始めると続くのか。私たちが現場で見てきたことを、公的統計と一緒に正直にお伝えします。

数字で見るいま

毎年2,400件が生まれ、900件以上が閉じている。

訪問看護ステーションの稼働数は、2014年の7,473か所から2026年の20,051か所へ、12年で2.7倍になりました。けれど、その裏側では13年間で7,170か所が廃止されています。新しく生まれた21,442か所の3か所に1か所にあたる数です。廃止は毎年、稼働数の4〜5%で続いており、2025年度は過去最多の960件でした。廃止理由の筆頭は「従業員の確保が困難」(22.7%)、次いで「管理者が退職した」(17.6%)です。

図1 ステーション数の推移。約2,400件が生まれ、900件以上が閉じている。2013〜2025年度の新規(896→2,428)と廃止(262→960)の棒グラフ、稼働数の折れ線(7,473→20,051か所、2026年4月1日)。2025年度 新規2,428/廃止960か所。13年度分の累計 新規21,442/廃止7,170。廃止理由: 従業員確保が困難22.7%、次いで管理職の退職17.6%(n=437)。出典: 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査」2014〜2026年、厚労省 第259回介護給付費分科会 資料3。
訪問看護ステーションの新規・廃止・休止と稼働数(年度・各年4月1日)
年度新規廃止休止稼働数(翌4月1日)
2013年度8962621387,473
2014年度1,1893331918,241
2015年度1,3844252369,070
2016年度1,2344622249,735
2017年度1,22148222810,418
2018年度1,38353425911,161
2019年度1,37652623811,931
2020年度1,63354124013,003
2021年度1,80649024214,304
2022年度1,96856822515,697
2023年度2,43770129117,329
2024年度2,48788635518,754
2025年度2,42896032820,051

出典:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査」(平成26年〜令和8年の各年版、各年4月1日現在)。稼働数=指定数−休止数。廃止理由は同協会 令和7年3月報告書(n=437)を引用した社会保障審議会 介護給付費分科会 第259回 資料3。

伸びているのはリハビリ職。看護職員の割合は7割で横ばい。

ステーションで働く人は、12年で4倍に増えました。看護職員も増えています(2.8万人→10.4万人、3.8倍)。ただし、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の伸びはそれを上回り(0.6万人→3.1万人、5.2倍)、看護職員の割合は約7割で横ばい、リハビリ職が約2割という構成が定着しました。そして、全国の就業看護師のうち訪問看護ステーションで働く人は6.7%(約9.1万人・2024年末)。12年前の3.0%から高まったものの、国が2025年に必要と見込んだ約12万人には、まだ届いていません。

図2 看護職員とリハビリ職。12年の伸び率はリハ職が上回る。看護職員の割合は近年7割。職種別従事者数(常勤換算): 看護職員 2012年27,557人・2016年41,628人・2020年67,139人・2024年103,823人、リハビリ職 5,965人・12,096人・21,959人・30,849人。構成割合: 看護職員 77.7%→72.1%→69.4%→70.9%、リハビリ職 16.8%→21.0%→22.7%→21.1%。2012→2024年の伸び(目安): 看護職員3.8倍、リハビリ職5.2倍。就業看護師のうち訪問看護ST勤務 6.7%(2024年末・実人員、91,022人/1,363,142人)。直近2018→2024年は看護職員の伸びがリハ職を上回る。出典: 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」詳細票 第7表、令和6年衛生行政報告例 表2。
訪問看護ステーションの従事者(常勤換算)の職種別推移(全国・各年10月1日)
年従事者 総数看護職員リハビリ職看護職員の割合リハビリ職の割合就業看護師に占める訪問看護ST勤務
2012年35,45427,5575,96577.7%16.8%3.0%
2016年57,70441,62812,09672.1%21.0%3.7%
2020年96,79967,13921,95969.4%22.7%4.9%
2024年146,500103,82330,84970.9%21.1%6.7%

出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」詳細票 第7表(各年、e-Stat)。看護職員=保健師・助産師・看護師・准看護師、リハビリ職=理学療法士・作業療法士・言語聴覚士。2018年以降は標本調査にもとづく推計値のため、長期の倍率は目安。就業看護師に占める割合は「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」各年末(実人員)。需要約12万人は看護職員需給分科会 中間とりまとめ(令和元年)。

5人未満の壁

半分以上が看護職員5人未満。だから、大きくなりにくい。

常勤換算で看護職員が5人に満たないステーションが55.2%。1事業所あたりの看護職員は平均5.8人です。少人数だと、24時間の電話と緊急訪問を数人で回すことになり、ひとり欠けると回らなくなります。採用に手が回らず、採用できないから大きくなれない。この順番が、規模の壁をつくっています。

  • 55.2%

    看護職員5人未満のステーション

    2.5〜3人未満 15.5%、3〜4人 22.6%、4〜5人 17.1%。人員基準ぎりぎりの体制が最も多い層です。

    出典:令和6年 介護サービス施設・事業所調査(社会保障審議会 介護給付費分科会 第259回 資料3)

  • 5.6%

    機能強化型の届出があるステーション

    常勤7人以上・看取り20件以上などの要件を満たす機能強化型1は477か所。1〜3を合わせても963か所で、稼働数の約5.6%です。

    出典:中央社会保険医療協議会 総-2 在宅(その3)(令和7年11月12日)

  • 約9%

    1か月に看取りを算定した事業所

    届出は77%にあるのに、実際に算定したのは約9%。体制があっても、少人数では看取りまで伴走しきれていません。

    出典:同 第259回 資料3/全国訪問看護事業協会 令和6年度 老健事業 報告書。詳しくは在宅看取りとその市場

看護師同士の開業

「一緒にやろう」から始まる開業が、続きにくい理由。

看護師の開業には、よくある2つの始まり方があります。ひとつは、気の合う友人同士で始めるケース。もうひとつは、働いているステーションのオーナー看護師と方針が合わなくなり、仲間を連れて別のステーションを立ち上げるケース。どちらも私たちは数多く見てきました。そして正直に言うと、友人同士の開業は、続きにくい形になりやすいのです。

  • お金が、関係を変える

    経営はお金が絡みます。出資の割合、給与の差、借入れの名義、利益の分け方。看護の現場では一度も話さずに済んだことを、毎月決めなければなりません。大切な友人関係に、いちばん負担のかかる話題です。

  • 経営者と従業員のあいだの、見えない線

    どんなに仲が良くても、代表者とそうでない人のあいだには、責任と情報の差があります。同じ気持ちで始めたはずなのに、決める人と決められる人に分かれていく。この線は、仲の良さでは消えません。

  • 「前の職場」を繰り返しやすい

    方針が合わずに独立した場合、新しいステーションでも同じ構図が生まれがちです。経営の型を持たないまま人数だけ増えると、今度は自分がオーナー側になって、同じ分かれ方を経験することになります。

※この節は統計ではなく、トータルケアが直営・加盟の支援のなかで見てきた傾向です。

ひとりで始める

だから、はっきりお伝えします。独立は、ひとりで。

友人と一緒に始めたいと思ったなら、もうひとつの選択があります。ふたりが、それぞれ独立することです。隣の地域で、同じ仕組みの上で、それぞれが代表者として立つ。相談し合える仲間のまま、お金と責任は分ける。大切な関係を守りながら経営者になる方法は、あります。

ひとりで始める道を、私たちは止めません。ただ、ひとりで始めるときに重くのしかかるものがあります。看護師を育てる仕組みがないこと。記録や請求のシステムをそれぞれ別のものでそろえる手間。そして、開業資金の借入れです。返済の重さに追われて、せっかく始めたステーションを閉じざるを得なくなる看護師を、私たちはもう見たくありません。

経営者としてのキャリアのなかで、遠回りを省く方法としてフランチャイズを選ぶのは、間違いではありません。せっかく経営者としてデビューするなら、看護師としてだけでなく、経営者として育ってほしい。それが私たちの願いです。

看護師は経営に向いている

看護過程の流れは、経営のPDCAと同じ。

看護師は、毎日「情報を集め、アセスメントし、計画を立て、実施し、評価する」を繰り返しています。経営も同じです。市場と地域の情報を集め、何をするか決め、実行し、数字で振り返り、次の手を打つ。看護過程を回せる人は、経営のサイクルも回せます。足りないのは経営の知識であって、考え方の型ではありません。

図3 看護と経営の考え方。看護過程の流れは、経営のPDCAと同じ。情報を集め、考え、実践し、振り返る。その経験は、経営にも活かせます。看護過程: 01情報収集→02アセスメント→03看護計画→04実施→05評価・修正。経営: 市場を知る→分析→計画(Plan)→実行(Do)→評価・改善(Check・Act)。ステーション経営では: 地域の人口・医療機関・競合・採用環境を調べる/どの地域で、誰に、何を強みに届けるか/収支計画・採用計画・開業スケジュール/開業・営業・訪問を積み上げる/月次の数字で振り返り、次の一手。評価・修正を、次の情報収集と計画へ。足りないのは知識であって、考え方の型ではない。
看護過程と、経営のサイクルの対応
看護過程経営(PDCA)ステーション経営では
情報収集市場を知る(Research)地域の人口・医療機関・競合・看護師の採用環境を調べる
アセスメント分析(Analyze)どの地域で、誰に、何を強みに届けるかを見極める
看護計画計画(Plan)収支計画・採用計画・開業までのスケジュールを立てる
実施実行(Do)開業し、営業し、訪問を積み上げる
評価・修正評価・改善(Check・Act)月次の数字で振り返り、次の一手を決める
右腕になる本部

経営は、ひとりではできない。だから、右腕がいる。

私たちの役割は、経営者になる看護師の右腕としてスケールを支えることです。法人設立から創業融資、採用、育成、請求まで。ひとりで背負うはずだったものを、仕組みで分け合います。

  1. 法人設立

    定款・登記・指定申請の段取りを本部が一緒に進めます。はじめての手続きでも、順番に迷いません。

  2. 創業融資

    日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額7,200万円、設備資金は20年以内・運転資金は10年以内(据置期間5年以内)。新たに事業を始める方は原則として無担保・無保証人で利用でき、創業期は利率が原則0.65%引き下げられます。事業計画書の作成と面談の準備を本部が伴走し、融資そのものをサポートの対象にしているので、ここで立ち止まらずに進めます。借入れは「返せる計画」とセットで設計します。

  3. 人材を集める

    採用は全国ブランドの仕組みで。大切なのは、自分の知らない人と働くことです。友人を誘うのではなく、経営者として人を迎える。その最初の採用を、本部が支えます。

  4. 育てる

    「How to 訪問看護」の教材、同行研修、クローバー会。ひとりでは用意できない育成の仕組みを、初日から使えます。

  5. 記録と請求をひとつに

    記録・請求・スケジュールを別々のシステムでそろえる負荷をなくし、自社システム「センパイナース」で一気通貫に。看護師が看護に集中できる時間を守ります。

  6. 24時間を分け合う

    24時間365日の看護相談ダイヤルで、夜間の電話を経営者ひとりが抱えない体制に。看護師の定着と育成で詳しく。

看護師の独立・開業(要件と現実)を見る

経営者としてのあなたを、育てたい。

まだ迷っている段階で、かまいません。「独立すべきかどうか」からのご相談も承ります。無理にお勧めすることはありません。

出典一覧

「看護師同士の開業」の節は統計ではなく、トータルケアの支援現場で見てきた傾向です。数値は各出典の公表版によります(2026年10月時点)。