出展のお知らせ11月18日(水)〜20日(金)インテックス大阪「フランチャイズ EXPO」に出展します。ブースで担当者と直接ご相談いただけます。展示会の詳細を見る

訪問診療クリニックの先生方へ

訪問診療の報酬を、医療全体から見る

「訪問診療は1回の報酬が高い」という声を聞くことがあります。けれど、同じ状態の方を支える費用として入院と並べると、見え方は大きく変わります。公的な研究と中央社会保険医療協議会(中医協)の資料から、在宅医療の費用と病院経営の今を整理しました。

数値は各出典の時点のものです。出典と時点はページ下の表にまとめています。

先に結論

比べる相手を変えると、見え方が変わる

  • ポイント1

    通える方には外来がいちばん

    1回あたりの金額は、外来の再診より訪問診療のほうが大きくなります。通院できる方にとっては、外来が最も効率のよい受け方です。

  • ポイント2

    通院が難しい方なら、入院と比べる

    比べるべきは「通院が難しくなった方を、入院で支えるか、在宅で支えるか」です。同じ状態の方で比べた研究では、在宅の医療費は入院より月46万〜48万円低い結果でした。

  • ポイント3

    病院の力を、入院が必要な方へ

    病院は人を増やしても利益が出にくい構造になっています。在宅で支えられる方を在宅で支えることは、病院の力を入院が必要な方に集めることにもつながります。

1回の金額で見ると

訪問診療は「1回の金額」が大きく見える医療

訪問診療は、医師が自宅へ伺い、計画的に診療し、月を通して療養を管理する医療です。移動の時間も、24時間の連絡体制も含めて報酬が組まれています。そのため、1回の金額だけを外来と比べると大きく見えます。

1回・1か月あたりの報酬の例(令和8年度診療報酬改定・1点=10円)
受け方中身金額
外来(再診)再診料76点。処方・検査・管理料などは別760円〜(1回)
訪問診療在支診(機能強化型以外)・単一建物診療患者1人・月2回。訪問診療料と在宅時医学総合管理料54,650円(1か月)

通院できる方は、外来で受けていただくのがいちばん効率的です。訪問診療の出番は、通院が難しくなったとき。そのとき比べる相手は、外来ではなく入院です。

訪問診療の金額は訪問看護が、訪問診療の医師を支える理由の試算と同じ条件です。加算・指導管理料などは含めていません。

同じ状態の方で比べると

在宅の医療費は、入院より月46万〜48万円低い

厚生労働科学研究の報告書(九州大学 福田治久ほか)は、東京都の後期高齢者のレセプトから、経管栄養をしている方8,022人(延べ37,790人月)を調べました。同じ方が在宅で過ごした月と入院した月を比べる方法で、病状のちがいの影響をできるだけ除いています。

在宅医療費と入院医療費の差(1か月あたり・在宅のほうが低い額)
対象差額(月)
全体481,276円
肺炎475,773円
脳血管疾患の後遺症455,523円
認知症462,213円

固定効果モデルによる推定。いずれも統計的に有意(P<0.001)。手術のあった月は除外。データは2013年9月〜2014年8月。

介護費を足しても、在宅のほうが低い

在宅で過ごす方は、介護保険のサービスも使います。そこで報告書は、在宅の側に要介護5の介護サービスの平均費用(月287,500円)を足して比べ直しています。それでも在宅のほうが月約17万円低い結果でした。

病棟の種類ごとに比べた差(在宅の医療費との単純比較)
比べた入院先医療費の差(在宅が低い額)介護費の平均を足した後
一般病棟(13対1)456,269円在宅が約17万円低い
一般病棟(15対1)399,642円在宅が約11万円低い
療養病棟(医療区分3)464,194円在宅が約17万円低い
療養病棟(医療区分2)375,270円在宅が約9万円低い
療養病棟(医療区分1)233,461円同じくらい、または在宅が上回る
精神病棟313,841円同じくらい、または在宅が上回る
有床診療所302,827円同じくらい、または在宅が上回る

医療の必要度が高い方ほど、在宅で支える費用の差がはっきり表れます。訪問診療と訪問看護が組み合わさって、医療が必要な方を家で支えられること。それが、医療全体の費用から見た在宅医療の強みです。

介護費は平成25年度介護給付費実態調査の1人当たり平均(総数)との比較。点数は調査当時のもので、現在の報酬とは異なります。

病院経営の今

病院は、人を増やしても利益が出にくい構造に

病院は、手術や急な入院を引き受ける地域医療の要です。その病院では、職員を増やしながらも、費用の伸びが収益の伸びを上回っています。中医協の資料(2025年4月23日)で、100床あたりの数字を見てみます。

病院の100床あたり損益(2018年度→2023年度)
項目2018年度2023年度増減率
事業収益15億2,376万円16億8,131万円+10.3%
事業費用14億9,533万円17億1,497万円+14.7%
うち人件費8億5,564万円9億4,711万円+10.7%
事業利益2,843万円▲3,366万円-
病院の100床あたり常勤換算の職員数(2017年→2023年)
職種増減
医師+4.0人
看護師・保健師・助産師+5.3人
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士+1.9人
事務職員+2.0人
准看護師▲2.4人
合計135.7人→146.6人(+10.9人)

病院団体の調査でも、2024年度に医業利益が赤字だった病院は74.6%(前年度70.8%)、経常利益が赤字だった病院は65.0%(前年度52.1%)でした。高度な医療を支える設備と人の固定費が大きく、人を増やしても利益に結びつきにくい構造です。

だからこそ、在宅で支えられる方を在宅で支えることが大切です。病院の病床と人を、入院が必要な方へ向けられるからです。訪問診療と訪問看護は、病院と競う存在ではなく、病院の力を生かすための連携先です。

損益は福祉医療機構の貸付先病院(2018年度1,061施設、2023年度1,943施設)のデータ。コロナ補助金を除いた事業収益で集計。職員数は医療施設調査・病院報告にもとづく。

報酬の議論とあわせて

在宅の報酬は、医療全体の中で考える

2026年11月4日、財務省の財政制度等審議会(財政制度分科会)の資料で、高齢者向け住まいに併設された事業所のサービスや訪問看護の報酬の見直しが示されました。在宅サービスの報酬が議論されるときこそ、1回の金額だけでなく、同じ方を支える費用の全体で見ることが大切です。

くわしくは訪問看護の報酬の見直しについて — 財務省の提言(11月4日)と令和8年度改定のポイントでご紹介しています。

在宅医療を続けるために

在宅医療を支える要は、24時間の訪問看護

通院が難しい方を家で支え続けるには、夜間の連絡に応え、医師の指示のもとで処置する看護師が欠かせません。連携先を探すだけでなく、クリニックが自ら訪問看護ステーションを持つという選択もあります。看護師の採用は、求人から一次・二次面談までトータルケアFC本部が担当します。

在宅で支える力を、地域に増やす。

貴院の訪問診療の体制と、連携している訪問看護の状況をお聞かせください。訪問看護との組み方と、ステーションを自院で持つ場合の体制と収支を、具体的にご説明します。勉強会のご依頼も承ります。

根拠・出典

このページの主張と根拠
主張数値出典時点
通院が難しい方の医療費は、在宅のほうが入院より低い月481,276円低い(肺炎475,773円、脳血管疾患後遺症455,523円、認知症462,213円)厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書「在宅医療に関連する医療提供量・費用分析に関する研究」福田治久・前田恵(別タブで開きます)平成29年度報告。データは2013年9月〜2014年8月
介護費を足しても、在宅のほうが低い要介護5の平均介護費(月287,500円)を足して約17万円低い。療養病棟(医療区分1)・精神病棟・有床診療所とは同じくらいか在宅が上回る同上(考察)同上
病院は費用の伸びが収益の伸びを上回る100床あたり事業収益+10.3%、事業費用+14.7%、事業利益2,843万円→▲3,366万円中央社会保険医療協議会 総会(第607回)総-5「医療機関を取り巻く状況について」p.17(別タブで開きます)2025年4月23日(2018年度→2023年度)
病院は職員を増やしている100床あたり医師+4.0人、看護師等+5.3人、合計+10.9人同上 p.192017年→2023年
赤字の病院が増えている医業利益が赤字の病院70.8%→74.6%、経常利益が赤字の病院52.1%→65.0%(有効回答1,629病院)日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会「2025年度 病院経営定期調査 概要版」(別タブで開きます)2025年11月26日(2023年度→2024年度)
訪問診療の1か月の報酬の例54,650円(在支診・機能強化型以外、単一建物診療患者1人、月2回)令和8年厚生労働省告示第69号 医科診療報酬点数表 C001・C0022026年6月1日施行
在宅サービスの報酬の見直しが議論されている高齢者向け住まいに併設された事業所のサービス・訪問看護の報酬の見直し財政制度等審議会 財政制度分科会 資料「社会保障」2026年11月4日

研究の数値は調査当時の報酬にもとづきます。費用の比較は平均値によるもので、一人ひとりの療養の場は、病状とご本人・ご家族の希望にもとづいて主治医と決めていくものです。