はじめての起業と、データ。
「なんとなく起業でもしようかな」から始める人もいれば、大きな目標を掲げて始める人もいます。どんな理由でもかまいません。ただ、続かなければ、意味がない。起業する人はどんな人で、なぜ始め、どれくらい続いているのか。公的な統計と調査から、先に数字を見ておきましょう。
平均43.9歳、勤務経験21年。ひとりで始める人が4割。
「若くて勢いのある人が起業する」というイメージは、数字とは少し違います。開業した人の最多は40歳代で、ほぼ全員に勤務経験があり、8割は同じ業界を経験しています。積み上げてきたものを生かして、慎重に始める人が多数派です。
- 43.9歳開業時の平均年齢(最多は40歳代 36.9%)
- 21.1年開業前の勤務経験の平均(勤務経験あり 97.6%)
- 81.1%同じ業界での経験がある人(平均15.3年)
- 42.6%本人ひとりで開業した割合
- 25.7%
開業者に占める女性の割合(4年連続で過去最高)
1991年の12.4%から、2015年17.0%、2020年21.4%、2025年25.7%へ。4人に1人が女性です。
- 16.7%
開業業種で医療・福祉は2位
サービス業27.7%に次いで医療・福祉16.7%。飲食店・宿泊業14.5%、小売業を上回ります。
- 600万円
開業費用の中央値(500万円未満が41.8%)
平均は975万円。1991年の1,440万円から減り続け、小さく始める人が増えています。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 新規開業実態調査」(公庫が融資した開業後1年以内の企業 2,165社・2025年8月時点)
理由はなんでもいい。でも、続かなければ意味がない。
動機の1位は「自由に仕事がしたかった」。「社会の役に立つ仕事がしたかった」は26.5%です。立派な理由がなくても、起業は始められます。けれど私たちは、立派な理由を並べて始めた事業が数年で終わるのも、たくさん見てきました。目的が何であれ、続けて利益を出せる事業かどうかが、すべてを決めます。
| 動機 | 割合 |
|---|---|
| 自由に仕事がしたかった | 59.7% |
| 収入を増やしたかった | 44.9% |
| 仕事の経験・知識や資格を生かしたかった | 41.1% |
| 事業経営という仕事に興味があった | 35.7% |
| 自分の技術やアイデアを事業化したかった | 30.6% |
| 社会の役に立つ仕事がしたかった | 26.5% |
| 時間や気持ちにゆとりが欲しかった | 22.7% |
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 新規開業実態調査」(公庫が融資した開業後1年以内の企業 2,165社・2025年8月時点)
起業したいです。その目的はなんですか。
会社をつくることは、明日にでもできます。登記は書類とお金で済みます。けれど、売上をつくることは、そう簡単ではありません。「みんなと違うことがやりたい」、それもいい。でも、稼げなければ続きません。法人の役割は、雇用と納税です。会社をつくり、人を雇い、社会に還元する。社会の役に立つから、利益が出る。会社とは、そういうものです。
毎年15.7万社が生まれ、5年後に続いているのは8割。
新しく設立される法人は年間15.7万社で、3年連続の過去最多です。一方で、倒産は年1万件、倒産以外で事業を終える「休廃業・解散」は6.7万件。起業後5年で市場から退出する企業は、国の白書の追跡で18.3%です。
- 15.7万社2025年に新しく設立された法人(3年連続過去最多)
- 81.7%起業後5年で続いている企業の割合(1年後95.3%・3年後88.1%)
- 29.2%倒産した企業のうち、設立10年未満だった割合(2025年)
- 23.5年倒産した企業の平均寿命(2025年)
| 指標 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| 新設法人 | 157,011社 | 設立登記された法人。起業時の平均年齢は48.9歳 |
| 倒産 | 10,300件 | 負債1,000万円以上で法的・私的整理に至った企業。設立10年未満が29.2% |
| 休廃業・解散 | 67,210件 | 倒産以外で事業を終えた企業(黒字のまま閉じる自主廃業を含む)。業歴5年未満が14.4%、代表者60代以上が90.6% |
| 活動中の法人 | 約296万社 | 11年連続で増加。うち赤字(欠損)法人は61.0% |
設立10年未満で倒産した企業の原因は、「販売不振」が70.3%。次が「放漫経営」11.0%で、全体の2倍を超えます。つまり、若い会社が終わる理由の大半は、売上が立たないこと。目的の高さではなく、売上が積み上がる仕組みがあるかどうかです。
会社の寿命は、どの業種を選ぶかでも変わります。倒産企業の平均寿命は製造業36.9年、小売業23.5年、情報通信業17.2年。老舗と呼ばれる100年超の企業は全体の3.11%、1,000社に31社です。
出典:中小企業庁「2017年版 中小企業白書」コラム2-1-2(帝国データバンクの企業データベースにもとづく追跡。白書自身が「実際より高めに出ている可能性」を注記)/東京商工リサーチ「2025年 倒産企業の平均寿命調査」/東京商工リサーチ「設立10年未満の企業倒産(2025年1〜10月)」/東京商工リサーチ「2025年 休廃業・解散企業動向調査」/東京商工リサーチ「2025年 新設法人動向調査」/国税庁「会社標本調査(令和5年度分)」/帝国データバンク「全国 老舗企業 分析調査(2025年)」。倒産・休廃業・生存率は母集団と定義が異なるため、合算や単純比較はできません。
起業に関心があっても始めない理由の1位は、自己資金。
起業に関心はあるけれど始めていない人に理由を聞くと、「自己資金が不足している」48.4%、「失敗したときのリスクが大きい」29.1%、「ビジネスのアイデアが思いつかない」29.0%。そのリスクの中身は、投下資金を失う、安定収入を失う、借金や個人保証を抱える、家族に迷惑をかける、です。
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始めた人の、いまの答え
開業からおよそ1年3か月の時点で、67.0%が黒字基調、74.8%が開業に「満足」。やりがいへの満足は84.4%、一方で収入への満足は28.3%です。起業家の仕事のやりがい「満足」は64.7%で、勤務している起業関心層の37.9%を大きく上回ります。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 新規開業実態調査」(公庫が融資した開業後1年以内の企業 2,165社・2025年8月時点)/日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 起業と起業意識に関する調査」
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始めた人が、苦労したこと
開業時は「資金繰り・資金調達」56.9%、「顧客・販路の開拓」49.9%、「財務・税務・法務の知識不足」36.4%。開業後は「顧客・販路の開拓」48.8%が1位になり、「従業員の確保」26.6%・「人材育成」19.1%が上がってきます。つまり、お金→お客さま→人の順に壁が来ます。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 新規開業実態調査」(公庫が融資した開業後1年以内の企業 2,165社・2025年8月時点)
この3つの壁(資金・顧客開拓・人材)は、訪問看護フランチャイズが本部の仕組みで分け合う部分と重なります。資金調達と融資、地域との関係づくりの支援、看護師の採用をご覧ください。
一攫千金も、間違いではない。でも、本当にそれでいいですか。
一攫千金を狙うことも、間違いではありません。人生の賭けとして、ギャンブルのような選択をするのも、ひとつの生き方です。ただ、数字を見たうえで、もう一度だけ考えてみてください。本当にそれでよいのか。
私たちは、せっかく起業するなら、長く、しっかりと利益の取れる事業を進めたいと考えています。訪問看護は、起業という文脈では、とても地味な事業です。キラキラしていないし、いきなり跳ねて笑いが止まらない事業でもありません。でも、これからの未来に向けて確実に必要とされ、長く続けていくことができます。
そして、伸び悩むときや、うまくいかないときこそ、私たちは一緒に走ります。
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出典一覧
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 新規開業実態調査」(公庫が融資した開業後1年以内の企業 2,165社・2025年8月時点)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度 起業と起業意識に関する調査」
- 中小企業庁「2017年版 中小企業白書」コラム2-1-2(帝国データバンクの企業データベースにもとづく追跡。白書自身が「実際より高めに出ている可能性」を注記)
- 東京商工リサーチ「2025年 新設法人動向調査」/「2025年 全国企業倒産状況」/東京商工リサーチ「2025年 休廃業・解散企業動向調査」/東京商工リサーチ「2025年 倒産企業の平均寿命調査」/東京商工リサーチ「設立10年未満の企業倒産(2025年1〜10月)」
- 国税庁「会社標本調査(令和5年度分)」/帝国データバンク「全国 老舗企業 分析調査(2025年)」
数値は各出典の公表版によります(2026年10月時点)。「倒産」は負債1,000万円以上の法的・私的整理、「休廃業・解散」は倒産以外の事業停止、「生存率」は信用調査会社のデータベースに収録された企業の追跡で、母集団が異なります。